DATE : 2006/11/13 (Mon)
「じゃじゃ~ん!プレステ3買ってきたぞ!」
お父さんがプレステ3を手にして帰ってきた。
信じられない!
まさか、我が家にこんなにも早くプレステ3がやって来るとは思ってもいなかった!
「わぁ~い!ありがとうお父さん!」
包みを開く。
正真正銘、本物のプレステ3のようだ。
当然のことながら、ボクは本物のプレステ3を見たのはこれが初めてだったけれども。
「へへへ・・・買うの大変だったんだぜ?」
これで、息子にも親父としての格好良い所を見せてやれるってもんだ。
それに、ちょうど今日は息子の8歳の誕生日だ・・・という偶然的な出来事はなかったが。
「すごいなぁ~」
幼い息子は汚れのない瞳をキラキラさせている。
本当に良かった。
妻には怒られたが、仕方ない。
そんなことはどうでもいい。
「ところで、お父さん」
「ん、どうした?」
「ソフトはないの?」
あっ!!
忘れた!!
「・・・すまん。買うのを忘れた」
「・・・お父さんのバカァー!!」
息子は走ってリビングを出て行ってしまった。
ガクッ・・・
何をやっているんだ、俺は・・・
うな垂れる俺。
「・・・嘘だよ!ありがとう、お父さん!」
顔を上げると、目の前には息子が。
息子よ!
大きくなった!!
心身ともに・・・!!
「そういえば・・・」
「どうしたの、お父さん?」
「ちょっと似たようなことが昔あってね。そのことを思い出したよ」
「へえ・・・」
「あれは、お前が産まれる前のことだったな・・・」
「そんなに前の話かぁ~」
「その日、お父さんとお母さんがな、喧嘩しちゃってね・・・」
「へえ・・・ボクが産まれる前から喧嘩ばっかしてたんだね」
ちゃんと見てるんだね、俺たちの喧嘩してるとこ・・・。
「う、まあね。それで、その日俺は怒ってウチを出てった」
「うん」
「カラオケ屋に一人で行ったんだ。ストレス解消にね」
「へえ・・・」
「当時、俺はファミリーコンピュータ、略してファミコンと呼ぶが、それしか持っていなかった。スーパーファミリーコンピュータ、略してスーパーファミコンも既に発売されていたけどね」
「ファミコンならボクも知ってるよ。だって、押入れの中にあるじゃん。でも、それとカラオケと何か関係があるの?」
よく知っているな・・・さすが俺の息子だ。
買ってから相当使っているのに、まだ壊れていないファミコン。
物持ちの良い俺・・・さすが俺の息子の父親だ。
「うん。実は関係あるんだ。お父さんはさ、ゲーム好きじゃん?でも、お母さんと喧嘩しちゃったからウチじゃできない。さあ、どうする?」
「うーん・・・ボクなら友達の所に遊びに行く」
「そうだね。でも、お父さんはもう大人だったから、さすがに『妻と喧嘩してファミコンできないからテレビ貸して』とは言えない。たとえそれが親友だったとしてもね」
「お父さんって親友いるの?」
「うっ!それは置いといて・・・とにかく、ファミコンがやりたかったんだ。だから、カラオケ屋に行った」
「なんで?」
「お父さんはファミコン本体と各種ケーブル、アダプタ、格闘ゲームのパイオニア的存在、あくまで"的"ね、であるイーアルカンフーというソフト、ファミコンのソフトはCDとかDVDではなくてカセットだったけどね、を持っていったんだ。カラオケ屋にね」
「あっ!」
「わかったかな?つまり、カラオケ屋のテレビをこっそりと使わしてもらったわけさ」
「へえ!お父さんもなかなかやるね~!」
「だろ?それで、ケーブルを全部ファミコン本体とテレビにつないで、イーアルカンフーを差して、スイッチをONにしたんだ」
「面白かった?」
「ああ、それはもう面白かったよ・・・と言いたいところなんだけど、お父さんは結局イーアルカンフーができなかったんだ」
「なんで?」
「さて、何ででしょう?」
「アダプタが差さっていなかった、とか?」
「アダプタもケーブルの一つと考えてくれ。ちゃんと差さっていたよ」
「うーん・・・」
「わからない?」
「うん」
「スイッチをONにしたお父さん。で、画面にはイーアルカンフーの文字。ちゃんと映ったんだよ」
「それで?」
「さあ、始めよう、と思ったんだ。そしたら、大切なものがないんだ」
「時間がなくなったの?」
「上手いこと言うな・・・でも、違うんだ。コントローラだよ、コントローラ!」
「お父さんの嘘つき~~~~~~~~~!!!」
息子が走ってリビングを出て行った。
なぜだ?
なぜなんだ?
なぜ嘘だとバレてしまったんだ!?
水道水が消毒されているようなものですね!(アレアレ)
人妻はちょっと危険なスメルが・・・