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DATE : 2017/10/20 (Fri)
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DATE : 2011/12/23 (Fri)
時は戦国。
その頃どこかでは、魔王が世界を支配していた。

心休まらない日々。
民衆は疲弊し切っていた。

そんなある日のこと。
とある国の王が、民衆を前にして高らかに宣言した。


「この剣が抜けた者を、勇者とみとめよう」

「わーわーわー!」


民衆は、勇者が現れることを期待した。
そして、魔王が打ち倒されることを。

それから数日経った、ある晴れた日の麗らかな午後。
王の元へ、兵士が慌ただしくやってきた。


「王、王!」

「なんだ、騒々しい。昨晩は眠れなかったんだ。ここから川を挟んだ小村が魔王の手により滅ぼされてしまったのだからな。次は我が城かもしれぬぞ……!」

「王、そんなことよりも」

「そんなこととは何だ!お前は死刑だ!」



ダシャーン!



精神的、時間的余裕のない国のこと。
処刑はすぐさま行われた。
不届き者の処刑に立ち会った王が玉座の間へ戻ると、また別の兵士がやってきた。


「王、王、お~う~!」

「ええい、騒々しい。昨晩は……」

「そんなことよりも、王」

「そんなこととは……」

「剣を抜いた者が現れたのです!」

「なんだと、なぜそれを早く言わぬか!お前も死刑だ!」



ダシャーン!



また不届き者の処刑が行われた。
だが、今度は王は立ち会わない。
王は剣を抜いた者を玉座の間に招いていたからだ。


「そなたが剣を抜いたのか?」

「はい。私が抜きました。それがこの剣です」

「うむ、確かにあの剣だな。では、どうやって抜いたのだ?」

「はい。こう、柄の部分を持ってですね、えいっ、とやったら抜けました」

「さすがは勇者だ。そう、そなたは勇者なのだ。この事実が覆ることはない。そなたは勇者なのだ!」

「あの、その件に関してなのですが……」

「なんだ、遠慮することはない。どの件だ?この剣か?わっはっは……さて、何なりと申してみよ、勇者よ」

「私、魔王なんですよね」

「なんだと!」


数秒の沈黙の後、剣を抜いた者-魔王-が話し出した。


「こんなことがあったんですよ……『グエッヘッヘッヘ、今日はこの城を滅ぼしてやるぅ~覚悟しろぉ~。ん、何だこの安っぽい古臭いプレートに刺さった剣は?邪魔くさい。さては、神からの贈り物か?魔王が神とか言っちゃった、てへ。俺が神だっつうの。グワッハッハッ。さて、せっかくだから使ってやるとするか。えいっ。お、簡単に抜けた……と、そこのお前、何を見ている!?何、王に会わしてやるだと?』……と、それから隣の部屋-狭くてカビ臭い愚民どもの部屋-で数時間待たされて、ここに連れてこられたというわけです」

「なるほど、そういうことであったか。つまり、そなたは魔王ではあるが、勇者でもあるわけだな。剣を抜いたわけだからして」

「はあ、そういうことになりますか」


勇者誕生の噂は、瞬く間に城や城下町を駆け回った。
記念すべき一日として、城では盛大なパーティーが行われた。
ある者は食べ、ある者は歌い、ある者は踊り……。
そして、夜が明けた!


大勢の民衆を前にして、王は勇者の誕生を正式に発表した。


「ばんざーい」

「勇者万歳!」

「ばんざーい」

「勇者万歳!」

「よかった、本当によかった」



「魔王万歳!」

「そこのお前、死刑だ!」



ダシャーン!
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