DATE : 2006/08/07 (Mon)
今日は道端で物を拾った。
お母さんにはいつも、「変な物を拾っちゃ駄目よ」と言われていたけど、とてもおいしそうだったので、拾ってしまった。
大きなのり巻きを。
「おかあさーん、ただいま!ねぇねぇ、これ・・・」
僕は、お母さんにさっき拾ったのり巻きを渡した。
とにかく早く食べたい。
僕は包丁で手を切ったことがあるから、お母さんに切ってもらうのだ。
「また変な物拾ってきて・・・えっ!?」
「お母さん、どうしたの?」
「な、なんでもないわ。こののり巻きを拾ったことは誰にも言ってないわよね?」
「うん。それがどうしたの?」
「なんでもないわよ、なんでもない。あのね、冷蔵庫にケーキあるから、のり巻きはやめてケーキを食べなさい」
「えっ、だって、あれはお客さん用でしょ?僕はのり巻きでいいよ。早く切ってよ」
「いいから、ケーキを食べなさい!」
なぜかお母さんはのり巻きを食べさせてくれなかった。
でも、ケーキが食べられるなら、それでいいや。
・・・と書いてある掛け軸を、道端で拾った。
広げてみると、中に書いてあったのである。
一体これは何を表わしているのだろうか?
道端に落ちていた大きなのり巻き。
それを拾った子ども。
ケーキを使いのり巻きを子どもから回収した母親。
なんなんだ?
のり巻きとは一体・・・?
なぜ母親はのり巻きを回収したんだろう・・・?
俺には全くもってわからない謎だ。
俺はこの謎をずっと考えながら、帰宅した。
妻にも話してみる。
「バッカねぇ!簡単じゃない」
妻は謎が簡単に解けたらしく、俺よりも高い次元に行ってしまった。
例えると、表彰台の下にいる俺と、表彰台の上にいる妻。
「なんで気がつかないの?あなたも相当マヌケね・・・」
気がつかない!?
何か俺に関係のあることなのか?
「頼む、教えてくれ!」
俺は妻に頭を下げた。
妻は重くない口を開いた。
「あなたが拾ったものは何?」
「掛け軸だが・・・それがどうした?」
「はぁ・・・」
妻はため息を吐いた。
完全に呆れている。
「どこからどう見ても掛け軸だよ!それがどうしたんだ!?」
「じゃあね、子どもが拾ったのは何だった?」
「大きなのり巻きだが・・・それがどうした?」
「はぁ・・・」
妻はまたもやため息を吐いた。
完全に呆れている。
「まず、最初に言っておくと、あなたが拾ったものと、子どもが拾ったものは同じね」
「なんだって!?じゃあ、俺が拾ったコレは掛け軸じゃあなくて、のり巻きだったのか!!こんなのり巻きが世の中に存在するとは・・・!食品の加工技術は日本が一番じゃあないか?なあ、そうだよな・・・ん?」
「はぁ・・・」
またため息を吐かれた。
妻はもっと高い次元に行ってしまった。
例えるならば、校長室から校庭を見下ろす妻と、校庭の砂場で埋められる俺。
「あのね!あなたの拾ったのは掛け軸!子どもの拾ったのも掛け軸なのよ!」
「は・・・?だって、大きなのり巻きだって書いてあるじゃないか!」
「子どもの思ったことでしょうが!その子どもは、拾ったものが掛け軸だってわからなかったのよ。それに、大きなのり巻きって何よ?」
「世の中にはバカな子どももいたもんだなぁ・・・!ハッハッハ!!」
「はぁ・・・」
ひときわ大きなため息を妻は吐いた。
なぜだ?
俺は何も間違えてはいない。
まあ、それはいい。
妻が何か勘違いをしているのだ。
「・・・じゃあ、なぜ母親は掛け軸を子どもから回収したんだ?そこだけはどうしてもわからない」
「子どもの拾った掛け軸に値打ちがあるかもしれないでしょう?母親は、もしかしたらの可能性に目が眩んだ。それに、遺失物法ってあるでしょ?あ、あなたが知っているはずはないわね・・・」
カチン!
さすがに、これには俺もキレた。
「俺だって、石粒砲ぐらい知っているわ!!子どもの時によく石粒を大砲のように打っていたもんだ。懐かしいな、あの頃が・・・」
「はぁ・・・」
妻は今日一番のため息を吐いた。
<終わり>
明かされなかった謎①
以下をドラッグすると見えます(隠す意味がわからないが・・・)。
子どもが掛け軸を拾った話が、なぜ"俺"の拾った掛け軸に書いてあったのか?
ちなみに、"俺"の拾った掛け軸の文章を書いたのは子どもである。
なぜなら、あの掛け軸には子どもの思ったことが書かれているからである。
一体、なぜだ!?
明かされなかった謎②
なぜ、子どもは"これ"としか言っていないのに、母親は"こののり巻き"と言ったのか?
一体、なぜだ!?
この謎は私にもわからないぞ!!