噛み合わない二人

「ここ、よく出るんだって･･･」

「えー、怖い！」

「何言ってんの？嬉しいじゃん」

「えー、あんた大丈夫？」

「お前こそ大丈夫？」

「普通だと思うけど･･･」

「俺も普通だけど･･･」

「出て嬉しいとは思わないわよ、普通」

「俺は出てほしいけど･･･というか普通は出てほしいでしょ？」

「アタシは絶対に嫌！」

「へえー！ハマると後が怖いから？」

「ハマる？まあ、あそこで何かにハマったらたしかに怖いけど･･･」

「うん。ハマったらバイト代もすぐ消えちゃうしなぁ～」

「えっ、バイト代を払えば助かるの？」

「助かるというか･･･一発当ててやろう！って感じ？結局は駄目な場合が多いけど･･･」

「オサツとオフダを間違えてない？たしかに字は一緒だけど･･･それに、当てるなんてとんでもないわよ！早く逃げなきゃ！」

「オフダねぇ･･･まあ、そういう人もいるかもね。でも、当てたら逃げないだろう？」

「逃げなきゃ、後が怖いじゃない！どうなるかわかったもんじゃあないわよ！」

「そうだよな･･･結局は全部飲まれちゃうからな～」

「闇に飲まれるってわかってるなら、早く逃げなさいよ！」

「闇とは大げさな気もするけど･･･まあ、そうだよな。そろそろやめるべきだよな」

「よかった･･･ウッウッ･･･」

「おいおい。泣くほどのことか～？」