category: 嘘謎解き
DATE : 2007/09/06 (Thu)
DATE : 2007/09/06 (Thu)
「急がないと遅刻しちゃう!」
私は、母が焼いてくれたトーストを口にくわえて家を飛び出した。
「いってきます、ぐらい言ったらいいのに・・・」
母のつぶやきが聞こえる。
もし今、「いってきまーす!」って言ったらパンが落ちるだろ、バカ。
「ハァハァ・・・あーもう、なんで、朝から・・・ハァハァ・・・走らなくちゃいけないんだろ・・・ハァハァ・・・」
私は、ひとりごとを言いながらこの異常事態の原因を考えた。
無遅刻無欠席、おまけに優等生で学級委員長の私には有るまじき事態なのだ。
父だ。父がいけないんだ。
昨日の夜、寝ようとした私に向かって、
「プリン食べただろ!ボクのプリン!」
と子供みたいなことを言っていつまでも泣き続けた父。
それをなだめる母。
バカバカしいと思いつつも、気になって眠れなかった私。
「あーホントバカバカしい!」
昨日のことを思い出して、思わずそう叫んで角を曲がったとき、私は誰かにぶつかった。
「キャッ!」
「いてててて・・・」
ぶつかった衝撃で、私はくわえていたトーストを落としてしまった。
だが、すぐに拾った。
3秒以内だ、きっと大丈夫。
ファミコンのカセットに息を吹きかけるようにトーストを「フーッ」とした後、もう一度トーストを口にくわえる。
「いてててて・・・あの大丈夫ですか?」
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